ネタバレ注意です!!!!
・採用要因
望んだ物がほぼ得られる最果てにおいて、与えられた選択肢から失うことは趣旨に反する。たとえそれが実際に行われなくとも。
上記に加え、納得できないという意見に、わたし自身確かに思うところがあった。
そもそも最果てとは、現実の不条理に牙を剥く物語であるとわたしは祈っている。
基本一本道ながらも、その上で自由度を上げて行こうと様々な努力をした。
主人公に「」付きのセリフを用意せず、没入感を上げたのもそうだ。これはそのままプレイヤーが物語に介入する自由度に繋がる。
様々な選択肢を用意した、様々なエンディングを用意した。
不条理に抗うため歩きだし、捻じ曲げた運命を掴み取り、その果てで明日へ向かって歩き出すのも、諦めて蹲るのも、裏切りさえも肯定したいと願った。
そんな「最果て」で納得できないを呑み込むのは、許容していいのか?
ゲームだからは、ある程度割り切るしかないとわたしは思う(開発者としても、ユーザーとしても)
ただ脚本、選択肢と用意して、選んでも選べないは割り切ってもよいのか?
選べたほうが良いだろう。ツキの意思に従わず、たとえゲームオーバーになってしまっても、そういった選択肢はあって然るべきだ。
ただわたしは作品/エンターテイメントを創りたい。触れて少しでも面白いと思って欲しい。
そして駄々をこねるような選択の連続に、相応しく面白い展開とは何なのか考え続けていた。リリース当時からずっと。
遺跡の休息イベントを「思い出そう」
ツキの言動も正しい。リスクヘッジのために躊躇いも無く捧げるのは間違い無く彼女であり、相棒の意思を尊重し、果てる決意を固めるのもまた彼女で間違い無い。
この選択のアレは本当に敵わないほどに強いのだろう。不条理に抗おうとしなければ、戦おうとはしないのだから。相対する存在は、不条理な強さを持たなければならない。
ただ、この選択の彼女らもまた、叶わぬを叶えるほど強いはずだ。
不可能に抗う主人公の意思、それを受け入れるツキの意思、必死にクリックをする、あなたの意思。
ならば届かないわけがない。これは意思が不条理を覆す幻想/物語なのだから。
遅くなってごめんなさい、初めから入れて無くてごめんなさい。
やっとわたしは――辿り着いた。
・代償
プレイヤーにとっては代償を覚悟で選んだはず、それこそここで死亡/ゲームオーバーになろうとも選んだはずだ。
ツキはその意思を尊重し、全てを委ねた。
ゲームバランス的にはここで最大意思が0になっても、心装や残存鋼の意思で辛うじてボスを倒せる。雑魚は逃げる必要が高い、天界は最後のイベントがプラスの要素が大きい。
ここさえ突破出来てしまえばラスボスは間違い無くどうにかなる。
作者としてはその状態で辿り着く最果てというのは都合が良い。
・技術的?な話
地の文は完全に消滅。主人公という人格はプレイヤーの存在によって押さえつけられているか、プレイヤーとシンクロしている。
また何度も同じセリフを言い、急に折れるツキ。これは現実的に考えると不自然だ。
ただこのツキは主人公/プレイヤーの意思によって、一度決定した自らの意思を変えており、ある種ゲームという枠組みを超えている瞬間である。そのためテンポを意識しても、一々作中では言い訳をしない。
イベント戦に済ませた理由。
コスト……の問題以外に触れる。
プレイヤーが戦闘によって自ら結果を得るか、等しく同様の代償を支払って得られる結果、どちらが良いのかを天秤にかけた。
その結果、必ず望んだ物を得られる方が(辛うじて程度だが)尊いと感じた。ラスボスが多くの人に倒せるよう設計しているのと同じ基準。
これはリソース十二分、心装コンプしてようやく倒せる裏ボス……という展開よりも大切だと感じた。
そしてこれは今まで戦闘とイベントを完全に分けていた流れにも反しない。
また物語を紡ぐにおいて、テキストに依存しがちな「最果て」 そのため音のみで物語を紡げないかと思った。
こちらは意図した流れの破壊、それによるイレギュラーの強調を狙った(また作者のスキルアップ)
演出として、現状では恐らく満足いくものではないはず。
わたし自身、物足りないなと自覚している。
ただこの選択は、存在することに意義があると思うのだ。
選択肢は11回選ぶと分岐するように。
キリの良い10回押しても変わらないようなら、と理屈を超えてもクリックを続ける人向けを意図して。
分岐が始まってから、別の選択肢を選ぶと通常通り進行。
手抜きだが、ここまでクリックして辞める人はまずいないと思ったのでこれでいいと思った。
この選択肢自体は、選ぶことに利点は一切ありません。むしろこれ以上酷いロスを負う選択肢は無いと思います。最大意思が減るなんて他に無いですし。
ただ、あなたは相応の覚悟をもって選んだ道だと信じています。そのためこの傷痕はきっと誇りになるでしょう。
・最後に
(実質)追加シナリオ、書いてしまったなぁ……。
バッテリーを軽くしたバランス調整同様に、リリース時点で不具合を除いて作品としては完成されている――というのは実は誉れとして狙っていた。
まぁ、栄光など要らぬさ。
久しぶりに「最果て」のテキスト、ツキのセリフを書いたけれど、個人的にはそこまで違和感は無い、かな?
まるで抵抗なくスムーズに出て来た。
「私は、あなたのことが大切なんだよ。」
とか好きです。異論を申し立てる主人公に対して、ツキが咄嗟に「あなたのことも」ではなく「あなたのことが」と言ってしまった。
普段の冷静な彼女なら、主人公と最果て「も」になると思う(後半で追い詰められると似た言い回しをたまにする)
これで脚本部分で引っかかっていた箇所は全て取れた感じかな?
一応魔王城の騎士イベントが、プレイヤーの意思には反する展開になるように作ったが、あれは主人公やツキがその意思に反する対象では無いので個人的にセーフ。
「最果て」周りはそろそろ落ち着いて、次回作へ専念したいけれど、紅錆EDについての解説は今後機会があればまたブログを書くと思われる。
それではこの辺で。
この展開が、あなたにとって喜ばしいことであることを願って。
最果ての向こう側から、Huyumiより。