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【感想】アマツツミ【エロゲ】

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  ――公式サイト


 言葉によって人を操る事ができる"言霊"使いの一族の末裔、主人公・誠。
 好奇心旺盛な誠は外の世界に興味を持ち隠れ里を飛び出すが、世間に疎く里以外での知識がないため、とある田舎町の路上で行き倒れてしまう。
 野垂れ死にを覚悟しかけた彼を救ったのは、その町にある喫茶店『折り紙』の看板娘・織部こころだった。


 世間知らずな異能者である主人公と、田舎町で繰り広げられるちょっと不思議なローファンタジー物。
 洋風、冬、人の負を表に出し陰鬱とした舞台――と次作であるアオイトリと比べてしまえば、圧倒的に向こうの方が好みであるはずなのに体験版をプレイした段階ではこちらの方が胸に強く残りました。
 風景のノスタルジックさ、織部家の温かさ、狂言回しを自称して周りを楽しませようとしている善人のほたる、また彼女を中心に説教臭くなく、時折胸にスッと差し込まれるセリフやシーン。うーむ、たまらん。


## 体験版での魅力

"僕は、あなたの息子です"
"僕は、こころの兄です"


 素性も知れぬ男である事を受け入れた上で、家へと迎え入れてくれた母娘に対しての言霊。
 異性であることを意識させず、より家へと馴染めるようというどこまでも善意から来るその言葉。
 それは。
 それは、
 流産した子供から兄という立場すら簒奪し、
 喪失を受け入れた母娘から悲しみすら奪い、
 見知らぬ男性である第三者を家に受け入れるという信頼の消失、家族ではない誠という存在の欠落に他ならない。

 ただただ哀しかったとしか説明できない。
 様々な大切な物が、あくまでも善意によって、失われた事すら気づかれずに。
 悲しいモノや苦しいモノを全て忘れて良いはずなどない、覚えておきたいものだってあるはずだ。
 境界を乗り越えたが故に得られたものがあるはずなのだ。その尊さすら本人すらも気づいていない。

「じゃあ、約束」
「誠さんは、すごい力を持ってて、でもその使い道がないなら、それをみんなのために使ってあげて」
「みんなの笑顔と幸せを守ってあげて」


 言霊の効かないほたるとの約束。
 自分は悪い人間だと、そう笑うかのように寂しそうにはにかんだ少女の言葉。

"みんな"?
みんなか。
「うーん」
困った。
対象が全員なら、それは響子であり、僕であり、噂をする彼女達もだ。


 そのお願いは後にこうして響く。
 友を愛し、敵を排する事に躊躇いなどなかった誠は、響子を害するクラスメイトに言霊の使用を躊躇った。
 裁量を、範囲を、使用の是非を鑑みた際、動けなくなった。それは確かに、人間性の芽生えだったのだろう。


 以下ネタバレ込み。
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